今公開中の映画に「英国王のスピーチ(http://kingsspeech.gaga.ne.jp/)」というのがある。
幼少から吃音に悩む男が兄の王座放棄により英国王になってしまい、
セラピストと妻の協力に支えられながら苦手なスピーチを克服し、
ナチスドイツと戦争状態を余儀なくされた英国民に向けて、
団結を語りかけるスピーチをできるようになる実話をもとにした映画だ。
最近、菅さんをテレビや新聞などで見ていない。
震災被害者支援や原発、停電、選挙など目が回るくらい忙しいだろうけど、
いまリーダーとしてもっともすべきことをしていない。
いや、このような世界中が未経験の事態において、
「すべき」ということは諸説あろうが、私が個人的にそうして欲しいと思うことがある。
2,3日前までは、せめて3日に一度くらいは記者会見に出てきて欲しいものだと
思っていた。
ところが今の、もはや国家に危機に直面していると感じるような状況においては、
菅さんには自分の言葉で率直に思いを国民に語りかけて欲しい。
もちろん、配慮にかける失言はいけないが、多少実務と違うとか
そういうことはどうでもよいのだ。
それよりも、リーダーが復興にかける意気込みやエネルギーをテレビを通してでも
訴えることが、まだまだ世界に対して影響力を持つ日本という国のの宰相に
やってほしいことだ。
今日本は方向性を失いつつある。
一流のモノ作りも世界のメーカーは今は日本から重要部品が調達できていないが、
早期に日本以外のオプションを構築するであろう。
震災前から外資香港や上海へ拠点を移しつつあったが、今回の震災で加速がついている。
安心安全と言われた農産物漁獲物も放射能の影響で、しばらくはその地位が
大幅に低下するであろう。
問題は日本が震災の後遺症から立ち直ったときに、前のような状態にあるか、ということである。
それは難しそうに思える。
これは避けられないことであろう。
でも少しでもそれを良い状況にすることはできるはずだ。
このリーダーシップを今の首相である菅直人にとっていただきたいのである。
「今から話すことは、編集などせずにすべてをそのまま放送、掲載してほしい。
各論は詰まっていないことのほうが多い。
しかし、これは首相としての日本復興に懸ける思いである。
それを約束できるメディアのみ残っていただきたい。
未曾有のことが起った今、日本は国家の危機にある。
震災地はかならず復興させる。
そして、今回の地震や津波よりも大きな天災が起きても耐えられる町を作ろう。
世界中の叡智を集めて、原発は早期に収束させる。
しばらくは放射能問題があるだろうが、これも情報を的確に提供するので、
風評被害などの四次災害が起きないようにやっていこう。
それから首都圏や東北は電力が足りない状況が1年2年続くであろう。
これもそれぞれの協力のもとで克服しよう。
震災地は一日も早く復興させ、そして震災地ではないところは一日も早く
経済など日常の活動を震災前の状態に戻すことが大事なのだと。
そして私はこの震災から日本が再び立ち上がることに命を懸けるのだと。」
こんな感じのスピーチを聞きたい。
理屈よりも、意志なのだ。
出来たばかりの会社には、カネも人材も実績の何もない。
あるのは夢とそれを実現しようという意志のみである。
今の日本はその状況に近い。
個人や会社や地域はそれぞれで自律的に回復していくだろうが、
日本という国が全体としてどこに向かうのかを示すべきである。
それが日本という組織のリーダーにしかできない仕事なのだ。
政局を気にしながら谷垣さんを副首相にと打診したりするより、よっぽど国民の心に響くのだ。
彼は一市民活動家から政治家のキャリアをスタートして、政治家みんなが目指す
頂点に登り詰めた。
なった者にしか分からないのだろうが、
その椅子を離れたくない、後世に名を残す偉業を成したい、と思うのが男子だろう。
なのであれば、なおさら今語りかけるべきだ。
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